こどもに関わる大人が取り組みたい3つのこと


みなさん、こんにちは。
オトナノセナカのやぎちゃんです。

今回は、高校生とともに、“自分に向き合った半年間”について紹介したいと思います。


なぜ高校生なのか?

小学校から高校生は、周りの友達と自分を比べることが多い時期です。
そしてこの高校生の時期は自己形成を固める大切なタイミングだと考えています。
関わっているお子さんが乳幼児期でも小学生でも、この自己形成を固めるタイミングに向かっていくにあたり参考になる、そう考えています。

こどもたちの今

突然ですが、「自己肯定感」って聞いたことがありますでしょうか?

自分を肯定する力、簡単に言ってしまえば、自分に自信があるか、自分が好きか、と問われて「YES」と言えるかということですね。
この自己肯定感、若者を対象にしたアンケートを見ると、日本は他の先進国と比較しても相対的に低いということが言われています。

図表1.自分自身に満足している

図表2.自分には長所がある

【出典】(内閣府)平成26年版 子ども・若者白書(概要版)  >  特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~

どんな国のどんな親だって、こどもに対して、「あなたらしく、ありのままに育ってほしい」と願うものだと思いますが、これが私たちの暮らす日本では、傾向としてなかなか難しいということを示唆しているのかもしれません。実際、自分も子育てをしながら、こどもの個性を尊重できているだろうかと反省してしまうことも多々あったりします。

実際の高校生の反応

今回は、飛鳥未来高校千葉キャンパス校さまに機会をいただき、自己を作り上げる多感な時期の高校生を通して、この課題と向き合ってみました。

実際の授業風景

授業風景_講師-柳橋歩(やぎちゃん)
講師:柳橋歩(2年生担当)

授業風景_講師-為近真也(ためっち)
講師:為近真也(3年生担当)

今回担当させてもらったのは、週に一回のホームルームに通いながら、自分のペースで授業を選び自由に通えるスタンダードコース。
言ってみれば、全日制高校と通信制高校のハイブリッドスタイルですね。対象は1~3年全学年でした。

みなさんは高校生ってどんなイメージでしょうか?

一概には言えないのでしょうが、全体で質問をした場合は反応がしづらいのかなと思う場面があった一方で、一人ひとりと話すと素直で物腰が柔らかい傾向があると感じました。
空気を読むのがうまいとも取れますが、大人しいとも受け取れる、そんな雰囲気の中で授業が進んでいきました。

授業では、私たちオトナノセナカが大切にしている”自分らしさ”を確認するために、凸凹(得意・不得意)を振り返る一コマがあったのですが、凸(得意)はサッカーやバスケ、凹(不得意)は勉強や早起きなどスキルに寄った書き込みが多いのが特徴でした。

その中で、私はある生徒に目が留まりました。凸(得意)の欄には何も書かず、凹(不得意)の欄にひと言「すべて」と書いていたのです。

認めたくない自分、それによって未来に希望が持てなくなるのではないかという恐怖、それを他者に打ち明けたくないという反応が表れた事例だと感じました。

そして、その内面の心情を隠すことなくまっすぐぶつけてくるというのも、大人にはない多感な時期の純粋さの素晴らしさなのだとも感じました。

高校生に起きた変化

そんな生徒たちもワークショップで自分と向き合う回数を重ねることで、少し深い自分と対峙してくれるようになり、変化が現れるようになりました。

まず凸凹について、約6割の生徒に質的な変化が起きました。下記に挙げるように、スキルではない自分の個性も書いてくれるようになりました。

凸(得意)
優しい、人と話すこと、人を助けたり手伝うことができる
凹(不得意)
人見知り、はっきりと自分の意見が言えない
負けることが苦手、感情的になってしまう

これは、自分の中で凸凹を受け入れ、さらには自分の外に自己開示を始めてくれたという効果によるものと考えています。

また、生徒のみなさんにお願いした最終アンケート(サンプル数は約30人)から読み取れる効果を二つ、下記のグラフで紹介したいと思います。
まず、グラフ①は自分らしさについて変化があったかどうかという問いに対する回答です。
まさに、冒頭に触れた”自己肯定感”が上がったかを計る上で重要なアンケートになります。

「自分らしさについて変化はありましたか?」

グラフ①「自分らしさについて変化はありましたか?」(選択式5段階)
グラフ①「自分らしさについて変化はありましたか?」(選択式5段階)

58%(“前向き”と”やや前向き”の総和)の生徒が前向きになったと回答してくれました。

もともと前向きな生徒、または、今は自分と向き合いたくないという生徒など個人個人のタイミングもある中で、約60%という数字は効果的な取り組みになったと考えています。

「今回得られたことは何ですか?」

次にグラフ②です。
これは今回得られたことは何かという問いに対する回答です。
生徒のみなさんが何を得たと自覚しているのかを理解する上で、こちらも重要なアンケートになります。

グラフ②「今回得られたことは何ですか?」(選択式、複数回答可)
グラフ②「今回得られたことは何ですか?」(選択式、複数回答可)

回答数の上位は、「向き合う機会」と「自分の凸凹を知る」でした。

高校生というと、結構自由な時間が多くあるイメージでしたが、それでも、自分と向き合ったり、自分の凸凹を知るという機会はなかなかない、ということが推測できます。
また、自分をもっと知りたいというニーズも芽生えており、「自分にもっと期待してもよいかもしれない」というポジティブな感情が芽生えていることも推測できます。
今回を通して、少し人生が楽しくなってきたと思ってくれている生徒も一部居たと感じ取ることができました。

こどもに関わる大人が取り組みたい3つのこと

みなさんが何かしらこどもに関わっている大人であれば、こどもの自己肯定感を上げていくことを意識していきたいものですよね。

今回の取り組みも参考にしながら、下記3つのことを心掛けていくのが良いのではないでしょうか?

①こどもが自分自身と向き合うことができる機会の提供
②こどもが自分の凸凹(得意・不得意)を知ることができる機会の提供

そして、3つ目は、授業中に私たちが一番気を付けていたことになります。

③大人である自分自身が自分の凸凹を受け入れ、こどもにそれを伝えることができる

こどもに変化を起こしたければまず大人から。

③ができると①と②でこどもも向き合うことを始めてくれると実感しています。
しかし、③は結構労力がいるものでもあります。
なので、例えば、普段こどもの個性に目を向けられているか、周囲と比較してしまっていないか。
そもそも、自分が自分の個性を、または、パートナーの個性を普段大切にできているか、認め合えているか。
そういうことをふと振り返ってみる(=一度立ち止まる)ことだけでも結構有効だったりするのではないかと思うわけです。
ぜひ、参考にしてみてください。

さて、本コラムはいかがでしたでしょうか?オトナノセナカでは、一人でも多くの人に、自分らしい人生を歩んでもらいたいと願っています。

「自分らしい人生とは何でしょうか?」

わたしたちは、それを「自分らしい選択の連続」だと考えています。

一人でも多くの大人が自分らしい選択に満足しイキイキと暮らす、それを見たこどもたちが自分らしい選択に自信を持ち、満足しイキイキする、そんな社会の実現を目指しています。


なお、コラムの中で、”一度立ち止まる”ということをお薦めしましたが、一人でやるのはなかなか難しいという方は、そんなことをパパだけで行っているパパノセナカという私たちのイベントで体感することができます。
お酒片手に子育てに関する学びもあり、それでいて一度立ち止まることもできるという一石三鳥の企画になっています。
ご興味ある方は、下記URLより是非お申込みください。
 
【2019/3/12(火)開催】パパノセナカ in TOKYO Mar2019(品川区/コクヨ内ショールーム)

武蔵小杉

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

NPO法人オトナノセナカ
~こどもも大人も凸凹(違い)を認め合える社会を目指して~


— 記事を書いた人 —
事務局メンバー やぎちゃん(柳橋歩)
1児の男の子のパパ
柳橋 歩